しりとーりー

一人でしりとりをして出た言葉を題材に絵を描く。ついでにお話も書く。

<しりとり1-4>銀行

f:id:growingwall:20180208041040p:plain

カビたチーズは食用に適さないことを動物実験によって確認したカルピン博士は
「唯一の食物であったチーズがその用をなさない以上、まったく、非常に面倒だが外出するしかない」と苦々しくいいました。
そして、次なる行動である外出の準備をしながら、大変なことを思い出したのです。
「財布の中にお金がない」
なんということ、カルピン博士の立派なワニ革の財布の中には、ほこりの他何一つ入っていませんでした。
これでは外食はおろか、乾いて表面のひび割れた売れ残りの安物ライ麦パン一つ買うことが出来ません。
「曰く、『腹を満たす為にはまず汝が財布を満たせよ』ということか」
そう言って、とても真剣な表情で何度もうなずき、「これは、とても良い格言が出来た」と言うや、上着のポケットから“我が名言集”と書かれた小さな手帳を取り出し、『腹を満たす為にはまず汝が財布を満たせよ』と書き込みました。
「よろしい」手帳をポケットにしまい込みながら言いました。「財布を満たすためには銀行だ」
カルピン博士はすぐさま通りにある小さな銀行に向かったいました。
そして、到着すると、まっすぐに正面のカウンターへ向かいました。
「本日のご用件は?」カウンターの女性が博士に尋ねました。
すると、博士は懐からゆっくりと拳銃を取り出して非常に威厳のある様子で言いました。
「お金を出しなさい」