しりとーりー

一人でしりとりをして出た言葉を題材に絵を描く。ついでにお話も書く。

<しりとり1-6>いぬ

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「大変お待たせ致しました」
支店長はそう言いながらカルピン博士にお金の入った財布を恐る恐る渡しました。
受け取った財布の中を見て博士は不満そうに言いました。
「これっぽっち?」財布の中には紙幣が寂しくも数枚だけ入っていたのです。
支店長は「はい。占いの結果、これが最適と出ましたので」と、とても悲しそうな表情になりました。
博士は「占いの結果なら仕方がない」と言いながら拳銃と財布をポケットにしまうと銀行を出ました。

 

銀行を出ると、すぐに博士のお腹が不満に満ちた大きな音を立てました。
「さて、早速何か食べる必要がある」
博士はそう言いながら周囲をきょろきょろと見回しました。
すると「博士!」という大きな声。
声の方を見ると、博士の研究所のただ一人の助手である、オノプコ君が手を振りながら近づいてきます。
オノプコ君は立派な大きな白い犬を連れとてもにこやかな表情でした。
「やあこんにちは、オノプコ君。犬の散歩かね」と博士。
「はい。天気もとてもいいですから」とオノプコ君。
「研究所に出勤もせずにかね」
「はい。天気がとてもいいですから」
それを聞いた博士は苦々しい表情になりながらもオノプコ君の犬を見つめました。
「しかし、オノプコ君、なかなか立派な犬じゃないか」
「こいつは僕の自慢の犬、ニグマトゥリンです。こいつはなにしろ、とても賢いですよ」
「ほう」カルピン博士は少し興味を持った様子で「どんな風に賢いのかな」と尋ねました。
するとオノプコ君は大きく胸を反らして言いました。
「ボールを投げてやるとボールをとても上手にキャッチしたり、弾いたりするんです」
「そんなことは賢さとは」カルピン博士はそこで一息区切り大きく息を吸い「何の関係もない」とぴしゃりと言いました。